エッセイ かつて合コンに憧れていた私がオフ会に憧れている

最近「オフ会」に憧れている。ずっと以前、若い頃は「合コン」に憧れていた。

しかし「合コン」に憧れていた頃は既婚者だったので、参加することが出来なかった。というのは嘘で、既婚者のくせに一度参加したことがある。

通りすがりのいぬ

なんでちょっとだけ嘘ついたの

アオヤマ

世間体ってもんがあるじゃない

私は若くして結婚しているが子供ができたのはその15年後だったので、その頃はまだイケイケだったのだ。イケイケの私は友達に「いいから、何でもいいから参加して」と言われたので喜んで参加したのである。人数が揃わなかったのだろう。

「合コン」がやたら流行っていたあの時代。ああ!!憧れの合コン!!どんな楽しいことが待ってるんだろう!!

合コンの日がやってきた。イケイケの私がとびきりのオシャレをして合コンに参加する。イケメンがいるかもしれない。どうしよう。

笑えるエッセイ 爆笑エッセイ 面白いエッセイ 合コン オフ会

会場はホテルのビアガーデン。ロビーで女の子たちが待ち合わせをする。私は友達以外の女の子とは初対面だったので緊張していた。

この中のどの女がイケメンをゲットするんだろう、と考えていたからである。負けられないのだ。合コンは戦いだ。多分。

いざ!!合コンへ!!

女性陣が席に到着したが、男性陣はまだ来ていなかった。女性達の表情が、心なしか先程より引き締まって見える。ムム、さては。みんな闘志を燃やしているな。

「あ、きたきた」と友達が言う。

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

女性陣一斉に注目。

言葉が出なかった。

全員、
全くイケてないオタク
だったのである。

合コン初心者の私にも、この人たちの服装は合コンに来る装いには見えない。ダルンダルンのTシャツをズボンに入れて、しかもハイウエストだ。その頃はハイウエストは流行っていない。変な紐を腰に巻いている。それは何なの?半端ない寝癖までついている。ちょっとアンタ、リュックのファスナー全開だよ

しかし。だからといって帰るわけにもいかない。若くてイケイケの私でもその辺の気遣いがあるのだ。

他の女子達も思いは同じだだろう。一気にギクシャクした空気が流れる。

思った通り、全く会話は弾まない。気遣いが出来るイケてる女子達が質問などを絞り出しているが、それは一方通行だ。

この人たちは
どうして合コンに
来ようと思ったのだろう。

そんなどうしようもないムードの中、突然1人のオタクが口を開いた。ある女子に向かってこう言ったのである。

大仁田厚に似てますね。

大仁田厚に似てますね・・・
大仁田厚に似てますね・・・

その場が凍りつく。みんな無言だ。寒い。真夏なのに。なんという破壊力。ものすごいパワーワードだ。

思わずチラッと女の子を見る。

大仁田厚だ・・・大仁田厚が怒っている。鬼の形相だ。今にも電流を流した有刺鉄線で爆破しそうだ。バチバチバチー!!

それをきっかけに、男子と女子は完全に分かれて飲むことになった。大仁田厚はヤケ酒だ。最後はベロベロに酔っ払っていた。真っ赤になって、ますます似ている

もちろん誰も連絡先などを交換することもなく、なぜかオタク達は満足そうに帰って行った。幹事だった友達は平謝りし、私は何だかよく分からないままその場をあとに。

「次行くで次!!」という大仁田厚の声だけが遠くから聞こえる。

通りすがりのいぬ

既婚者が浮かれて合コンなんか行くから罰が当たったんだよ

アオヤマ

反省してます

随分と話がそれてしまったが、私は最近「オフ会」に憧れている。

考えただけでワクワクしてしまう。もちろんイケイケだったあの頃のような不純な動機ではない。Twitterで楽しく会話していると、老若男女問わず「あー!面白い!会ってみたい!」と思うのだ。

Twitterではたまに、そのようなことが行われた報告がツイートされている。厳選されたフォロワーさん達が夜な夜な会合を開いているのだ。たまらない。

しかし私が「オフ会」に参加するようなことはないだろう。恥ずかしいからだ。こんなことを発信している者がリアル世界に顔を出してはいけないような気がする。

憧れは憧れのまま、そっとしておこう。合コンもそうすればよかったのだ。

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